News
【全校】戦争と平和を考える日
JSG Days
女子聖学院では、約60年前から、生徒たちと共に昭和前半の戦争の時代について学ぶ「平和学習の日」を持ち続けています。今年度は、戦争の体験者である伊藤久夫(いとうひさお)さまにご来校いただき、当時の貴重なご経験を全校で伺う機会を持ちました。
チャペルに集まった生徒たちに向けて、本校社会科教諭である塚原校長より、この学習日の目的と、学校が生徒たちに伝えたい思いが語られました。
情報を思うように得ることができない時代背景があったとはいえ、当時、国民の多くが戦争を肯定的に受け止め、「神」である天皇のために自らの命をも投げ出すことが求められていた――そのような時代が、確かに日本にはありました。
女子聖学院では、そうした過去を決して忘れることなく心に留め、どのような状況に置かれても「自分の頭で考え、正しい行動を選び取る」ことのできる女性を育てていきたい。その思いが、校長から生徒たちへ語られました。
貴重な経験をお話しくださった伊藤久夫さま。ご子息の雅利さまと会津より本校にお越しくださいました。
塚原校長より生徒へメッセージが語られました。
今回お話しくださったのは、テニアン島で9歳の頃に「集団自決」を生き延びたご経験を持つ、伊藤久夫さまです。ご子息の雅利(まさとし)さま、そして伊藤さまとドキュメンタリーを通して戦争体験を報道されてきた刑部仁(おさかべじん)さまと共に、戦争当時の貴重な体験をお話ししてくださいました。
「生徒の皆さんには、これからお話しすることは本当だとは信じられないかもしれませんが、全て本当に起こったことなのです」
戦争を経験していない若い生徒たちへ、伊藤さまは最初にそのように語りかけられました。
サイパン島の隣に位置する戦地、テニアン島で過ごされた伊藤さまから語られる数々の事実は、想像するだけでも思わず顔を顰めてしまうような内容でした。しかし、それらはすべて、過去に実際に起こった出来事です。
お話の終盤、いよいよ島の南端へと追い詰められていく中で、伊藤さまが出会った日本兵の言葉が、今なお心に残っているそうです。
「この地は死者であふれ地獄のような有様である。だが、この状況を日本本土の人たちは誰も知らない。我々もこの後突撃して死ぬだろうが、この惨劇を伝える人がいなくなるのが心残りだ」
伊藤さまは生徒たちに、「戦争を絶対にやってはいけない。こういうことがあったと次の世代に伝えてほしい」と語られました。それは、ご自身が戦後長く続けてこられた「伝える」という役割の一端を、次の世代へ託す言葉でもありました。
生徒たちは真剣な眼差しでお話を聞き、その後も積極的に伊藤さまへ質問を投げかけていました。一人ひとりが、語られた言葉を自分自身のこととして受け止めようとしている姿がありました。
伊藤さまのドキュメンタリー映像「テニアン島慰霊の旅」を鑑賞しました。
質疑応答の時間には多くの学年・生徒から伊藤さまへ質問が投げかけられました。
耳を塞ぎたくなるような出来事が今も、私たちの知らない場所、見えない場所で起こっています。社会のさまざまな出来事に目を向け、自分の頭で考え、問い続けること。そして、自分に与えられた力を、誰かのため、社会のためにどのように生かすことができるのかを考えること。それは、平和をつくるために、私たち一人ひとりにできることの一つなのかもしれません。
女子聖学院では、キリスト教教育のもと、一人ひとりに与えられた賜物を見つめ、それを磨き、社会のために用いることのできる女性を育てることを大切にしています。
今回、伊藤さまから受け取った「伝える」というバトンもまた、生徒一人ひとりが心に刻み、それぞれの場所で次の世代へとつないでいくものです。過去の出来事を知り、今の世界に目を向け、自分に何ができるのかを考える。そして、その学びを自らの賜物と結びつけ、誰かのために、社会のために生かしていく。
戦争と平和について学んだこの一日が、生徒たちにとって「自分はどのように生きるのか」を考えるきっかけとなり、与えられた賜物を生かし、平和な社会をつくる一人として歩んでいくための学びとなることを願っています。
講演の後は各自感想文を書きます。この文章は本日ご来校いただいた伊藤さま方へお送りさせていただきます。
